脱GG-1計画
アムトラック発足時の Northeast Corridor 線は、ペンシルベニア鉄道から譲り受けたGG-1電気機関車が主力でした。 当時のGG-1は、製造から40年近く経ち、老朽化も進んでいたため、置き換え計画が浮上。 そして、米国ゼネラルエレクトリック社は、米マスキンガム電力で実績のあるE50C 電気機関車をベースに、E60CPを製造することになりました。
E60CP の仕様
アムトラックは、高速化、高出力、多電源対応を望んでいました。 そこでE60CPは、GG-1の最高速度100mph (160km/h) を上回る仕様の最高速度120mph (194km/h) にギア比を設定しました。 出力は、GG-1の4920馬力を上回る7650馬力(平均6000hp)を搭載。 そして、旧ペンシルベニア鉄道規格 の25Hz,と標準の60Hz 両電源に対応、12,500V 25/60Hz AC, 25,000V 60Hz ACの区間で使用できるように設計されました。 全長 21m, 重量 176t。
950-956号機は、暖房用ボイラー (steam generator) 付のE60CG*として製造。
957-975号機は、客室用発電機(Head end power)を搭載したE60CH*として製造されました。
注:* 一部ファンの間では、Steam Generator仕様をE60CP、Head End Power仕様をE60CHと呼ぶ場合があります。
E60CP 試運転の脱線
1974年12月、初のE60CP機関車が試運転を開始。 26両が順次導入される事になりました。 しかし、1975年2月24日、 105mph試運転開始直後に950号機の後部台車が脱線。 調査後、台車バネの欠陥が原因とわかりましたが、本体の重量とのバランスによる欠陥のため改善が困難と判断。 アメリカ鉄道交通局は、速度上限85 mph (137km/h) という条件付で1975年11月にE60CPの使用を許可しました。 結局GG-1以下のスピードとなり、別の電気機関車 (のちのAEM-7) の導入が検討されました。
E60CPのバリエーション
外見的には、ライト周りを中心に2度ほど変更が行われました。 塗装的には、フェーズ2塗装は、正面「Amtrak」文字なし、正面「Amtrak」文字ありの2種類。 フェーズ3塗装は、太目なアムフリート帯、標準帯の2種類。
E60CPその後
E60CPの10両は、1983年に ニュージャージートランジット へ貸出のち売却されました。 10両のうち1両 (958号機) は、鉄道保存会へ譲渡、961号機はNAVAJO鉱山鉄道へ移籍しました。 残り8両は、NJ州ナパラノ工場で解体されました。 アムトラック所有のE60CPは、620・621号機以外はHEP電源搭載車へ改造、モーター・足回りを改良し90mph対応のE60MAとして再デビュー。 その後、新型HHP-8の投入により徐々に出番を失い、2003/10/31付で正式に引退となりました。
E60CP実車を見たい方へ
現在、アムトラック塗装は、ペンシルバニア州ペンシルベニア鉄道博物館で603号機が保存されています。 NJトランジット塗装は、一般公開はされていませんが、 URHS of NJ (Boonton, NJ) に958号機があります。 Montclair-Boonton線に乗るとフェンス越しに見ることができます。
E60CPの模型
E60CPは3社より発売されました。まとめてみましたので参考にどうぞ。
スケール | メーカー | 型番 | 詳細 | 登場時期 | 販売状況 |
Nゲージ | Bachmann | 51-0655-05 | 単品 Amtrak ph,II 951 (シルバー塗装) | 1984 | 終了 |
Bachmann | 24007 | セット Amtrak ph.II 951 (メタリック塗装) | 1991? | 終了 | |
HOゲージ | Bachmann | 0750, 41-0655-05 | 単品、Amtrak phII 951, Rock Island | 1978 | 終了 |
Bachmann | 65502, 65503 | 単品、Amtrak phII 971, ph III 974 | 2007 | 発売中 | |
Walthers | 不明 | 単品、Amtrak, NJT, PCなど | 1988 | 終了 | |
American GK | 不明 | 単品、Amtrak, PC, NH, Bicentennial | 1979 | 終了 |